2019年 源流会 筒彫り&ひご引き
- 2019/09/13
- 22:36
取材日:9月8日
9月に入ったとはいえまだまだ暑い日が続きます。
ですが、確実に秋の足音も近づいているようです。
龍勢祭りまであと1ヶ月ですね!
さて、今回は小川耕地を活動拠点とする源流会さんの筒彫りとひご引きの作業にお邪魔してきました。
各地に大きな被害を与え、関東に上陸した中では最強クラスの台風が近づく中、嵐の前の静けさなのかさほど風もなく、時折夏の様な日差しが差し込む中作業を行われていました。
明治20年頃から龍勢を製造してきた「小川有志」の伝統を守り続けようと平成3年に小川地区の若者を中心にして「源流会」が発足されました。
源流会の名前の由来は、荒川の「源流」の1つである小川地区の有志達が集まった事からだそうです。
会員は地区外や女性龍勢師も含めて26名。
発射の際の上昇する勢いと櫓から離れる際の勇壮な音に特徴のある流派さんです。
早速作業の様子を見てみましょう。
筒彫りは内側の仕上げと荒彫りとに分かれて行われていました。
火薬を詰める際に実際にしようする「きめ棒」に「ベンガラ」と呼ばれる染料を付着させ、筒の中を通します。
その際筒の内径が強く赤くなる部分はまだ削りが足らない証拠になります。
削りすぎないように細心の注意を払い削っていきます。
隣では中野棟梁がノミを使い筒の内側を削っています。
ここで龍勢祭に詳しい方は「あれ?」と思われるかもしれません。
先程の筒と棟梁の彫っている筒は別物です。
源流会さんは例年1本の奉納なので、何故2本も彫っているの?という疑問が出てきます。
片方は予備の筒?
いいえ、両方とも本式で使用予定の筒なのです!Σ(・ω・ノ)ノ!
実は源流会さんは彫った筒はその年では使わずに1年以上寝かせてから使用するのです!Σ(゚Д゚)
つまり今彫っている2本の筒は来年以降用という事になります。
ちなみに特別な保管方法を用いているわけではないので、筒がダメになってしまうこともあるようですよ(;・∀・)
今年使用する筒と特別に過去実際に打ち上げた筒を見せてもらいました!
左から今年使用する筒 去年の筒 一昨年の筒 となります。
長さが明らかに違うのが解ると思います。
長い筒のお尻の部分を「カンザシ」と呼び、火薬を詰める際に衝撃で底を抜かないように補強する役割があります。
火薬を詰め込んだ後は切り捨ててしまうために、実際打ち上げた筒は短くなってる訳です。
なかなか見れない頭の部分も特別大公開!
竹が刺さっている部分は「吹っ切り」といわれるもので、火薬筒から火を背負い物に伝わらせる役割があります。
2つあるのは1つは予備用としているためです。
次にひご引きの様子をご紹介します。
ひご引きもそうですが、源流会さんでは松や竹の選別や筒彫り、タガ編み等に全員が関わるようにし伝統の技術を守っています。
こちらが大落下傘です。
5Mいかない大きさで他流派に比べれな少し小ぶりな落下傘ですが、2段にすることで落下速度を安定するように工夫がなされています。
隙間が見えますが、この落下傘は平成25年に作られたもので、一年一区画、その年の流行りモノ等テーマを決めて会員で書いています。
27年はぽてくまくん。
今年は「令和元年」を「タピオカ」で描いていますw
今までも毎年燃えることもなく回収して、これからも使い続け、1周全部を使い切ることが目標ですね!( ̄ー ̄)ニヤリ
さて、次は今回の作業のクライマックス!「噴射口」です!
通常では火薬を詰め込んだ後に行う工程です。
勿論完全に開けてしまうわけではなくガイドライン程度のものですが、源流会さんではこの工程が龍勢製造の中でも非常に重要であると考えており、失敗してしまったらやり直しのきかないタイミングではなく、この段階である程度の道筋をつける事にしています。
もしこのガイドラインの段階で少しでも曲がってしまった場合、その筒はもう使用しません。
その為の、予備も含めた複数本彫りなんですね。
まずは補助具を使い、筒の中心を慎重に合わせ、垂直であるか確認し、しっかりと固定します。
あとは通常の錐もみと同様の方法で噴射口をあけていきます。
一度に奥まで通さず、しっかり火薬に対して垂直になっているか確認します。
完成です!いい按排に出来上がりました!
吉田地区の中でも一番奥まった所に位置する小川耕地。
その場所ゆえか過疎化・少子高齢化が著しい耕地です。
そんな耕地だからこそ源流会さんでは龍勢祭の時にだけ集まり活動するのではなく、ゲンジホタルの保護活動や地域の活動を行うことで地域の繋がりを深め地域の活発化を目指し日々活動されています。
そんな活動が表彰されていたりもするんですよ!
さて、盛沢山でお送りしてきた源流会さんの龍勢ですが、今年の打上は3番と少し早い打上となります。
※画像は2018年のものです
毎年「高さ」と「チョウナッ首」を狙う龍勢を製造していますので今年もその2点を是非お楽しみください!
※チョウナッ首とは・・・龍勢が最高到達点から少し降りてきた箇所で荷離しをさせること
お忙しい中お時間をいただきありがとうございました。
見事な龍勢を期待しています!
~おまけ~
2018年打ち上げ時の口上櫓の様子
文・写真 : けんも
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